黄金樹のねもとの隠れ家

そう広くもなく狭くもなく
そんなスカーフェイスのシェアしたアパートの一室
腹も満たされて心地よく床に横たわりくつろぎモードのスカーフェイスとジェイド

寝転がるジェイドの鼻を畳の匂いがくすぐるそこへ
ずいっとスカーの腕が伸びて頭を鷲掴まれる
頭を掴んだスカーの手はそのままわしわしとジェイドの金髪をかき混ぜるように撫ぜていく

ジェイドは触れてくれるスカーの手が好きだったし、スカーも撫でているあいだ嬉しそうにはにかむジェイドの顔が好きだった

さっとジェイドは頭の上の大きな手を捕まえる
そのままスカーの丸太のような腕を手綱にして、ジェイドは身体をずりずりと寄せていく
スカーはにんまり笑みを浮かべ、腕に縋りつくジェイドを腕ごとずるりと引き寄せた

そのとき畳にこすり付けたこめかみが若干擦れたらしい
ひりひりする、と愚痴るジェイドが愛しくなってスカーは両の腕で抱きしめた
ぎゅうぎゅうとスカーの腕に包み込まれたのが心地よくて、ジェイドはスカーの背に腕をまわした

「スカー」
「あんだ」
背に回されていたジェイドの手がスカーの赤い房を掴みくいくいと引く
触れ合ってない場所など許さない抱擁する腕をスカーはいったん緩めてジェイドの顔を覗いた
こころなしかジェイドの顔に熱い朱がさしてみえた

「なんか　したい、かも」
「かも？」
そういえば最後にしたのはもう１０日も前になるか
腕の中でジェイドが恥ずかしそうに心臓がどきどきする、とつぶやくのがスカーには面白くて
思わず吹き出せばジェイドは目を見開いてスカーに笑うな！と吼えた

空かさず逃さずスカーはわあと開かれた口に食らいつく
歯と歯が触れ合ったのにジェイドは思わず竦むが、スカーが追うように舌を差し入れた
スカーの舌はジェイドの舌先を掠めて戻っていく
からかうような挑発するようなそれにジェイドの肌が粟立った

まだ近くにスカーの唇がある
そう認識するのと同時にジェイドはスカーの唇に吸い付いた
ちゅちゅと愛らしい音が耳に心地よく、スカーはジェイドとの接吻をしばらく楽しんだ
ジェイドも夢中になってスカーの唇を味わっていた

「スカー」
「うん」

「したくなった」
「そうかい」
長い口付けで酸欠しふやけた思考で、ジェイドはスカーが欲しくなったことを伝えて
スカーも己を強請るジェイドが可愛いくて返事はタッチキスで返すことにした






「スカー・・・っ」
「クるだろう？ココ　俺の知ってるお前のイイとこな」
差し込んだ指を手繰ればジェイドは身を襲う強い快感の衝撃に震える
目はまん丸で中央の翡翠は欲情して煌めいて
閉じることを忘れた口から放たれる喘ぎが
情交に乱れるジェイドの全てがスカーの理性をかき乱していく
ギリギリ切羽のぞわぞわひろがる
ジワジワ浸食のきりきりつめられ
ゾクゾク震撼のざわざわうごめく
その全ての感覚が、スカーの欲情すら育むから


「ジェイド、お前は恐ろしいやつだよ」
その焼き尽くす大火のような両目
その絡みつく大蛇のような四肢
その食いつぶす大鬼のような欲望
しかしその全てが受け入れられて然るべきものとしてしまうから


「スカーのほうが、ずっと恐いさ」
再びスカーもジェイドもその唇の熱を求める
手のひらと手のひらも合わせ、その指と指も絡め合わせ
全てが繋がってしまえばと願い合えばそれは絶好の機となる

互いが互いを呼んで
食いあうように求めて
削りあうように与えて
融けあうように繋いで
決して尽きないで絶えないで揺らがないで
そんなふたりはの熱は夜が更けるまで冷めることはなかった





そう広くもなくそう狭くもなく
そんなどこにでもあるようなアパートの一室

久方ぶりの情交に疲れ果てた身体を横たえくつろぎモードのスカーフェイスとジェイド
残り火くすぶるほのかな熱の心地よさがジェイドに眠気をもたらした
それはスカーにも同じことであってこのままジェイドと寝入ってしまいたい気持ちでいっぱいだった
でもさすがにこのまま寝てしまっては体調に害を来たすもとになってしまうから
スカーはだるく重い身体を起こして襖にしまわれた布団を引っ張り出した

その時、布団が雪崩のように滑り落ちてすぐ下にいたジェイドを押しつぶした
突然の圧迫感と息苦しさに何事かともがくジェイドを上から見ていたスカーは吹き出すことを禁じえなかった







あれ　ちゃんとオチてたかな･･･；はいっおつかれさまでしたー！！
副題的コンセプトは「情熱と浪漫」く、くるしい・・・

[5回]